吉本ばなな 夏の夜の匂い
読書メモ。
言葉をきらきらさせる作家、吉本ばななさんのサーカスナイトから、とてつもなく共感したところや、こんな言葉を語り合いたいなぁと感じたところを引用。
〜俺のことを簡単に言葉にするとそうなってしまうんだが、それは若干違うんだ。その若干の中に俺の人生にとってだいじなことの全てがある気がする。
〜そしてここの庭が結果的にはいちばん多くの人々を救ったの。私がひとりで必死になってかけずりまわるよりもずっと。
自分ひとりでできることなんて小さいって。だからって人と力を合わせればできると思うのも安直だって。
〜日常こそがすばらしいとか、普通のことこそ尊いとか、いろんな言い方があるけれど、そういうことではないのだと私は思った。
〜どこに行っても『これをやったらとりあえず面白い雰囲気になるから、それでがまんしなさい、ほんとうに楽しいことは危険ですよ』みたいなことを言われてるように思う。
〜あるものをないことにするのがいちばんいけないのだ、そう思った。
〜自然の力は強く健やかだが、人はどこでも呪いあっていた。そのせいで愛はいっそう結束がかたかったが、たいていの谷底や海にはその呪いの死骸がいっぱいに浮いていた。
〜自分で温度や速度を上げることだけはできないもんね、人間って。いつのまにかじゃないとねえ。
〜運命の奴隷っていうんですか?それになりたくなかったんです。
〜生活の中の一場面としていてほしい人、好意を持たれたらとても嬉しいけれど、それ以上自分の気持ちがうんともすんとも動かない人っていうのは相性として確かにありうる。
〜だれだってね、ほんとうは楽で気持ちよくて風通しがいいほうがいいの。でもみんな山に行かないしテニスもしないからいろいろわからなくなっちゃうんだね。あとは退屈しのぎにしてる重いことがどんどん止まらなくなっていっちゃうだけでね。
〜申し訳ない、違うんだ、でもそここそが飯山さんのいいところで、だからこそ一郎が面白がらないのだ。
〜じっとがまんして見守ってはいただろうけれど、一郎のどこかしらいつも完成されていない子どもみたいな、探求者や観察者のよう)態度は、彼らをきっと悲しませる。
〜いつか会えなくなるから、今、毎日、いやというほど会ったってかまわないんだ。そして、だからこそ、いやと思わないで会えるように工夫しあえば、奇妙な魔法が生まれてくる。べたべたしたり、嫉妬したり、泣いたりしているひまはないということなんだ。
〜人間って、弱いものなんだよ。子どもを育てるのを手伝ってあげているんだから、泊めてあげているんだから、そんな言い訳をいろいろして、五万円なり十万円なりでも、正当な気持ちでもらっちゃうのは簡単なことなんだ。
〜これは、出直してくるしかないって思ったけれど、そういうことの全部がどう考えても親のような愛じゃない。いちばんだいじなものがないのに、なにをしてもだめだ。いちばんだいじなものって、恋とか愛とかではない。その場にいちばん求められていることをすることなんだ。でもおれはなにもかも自分のことばっかりだった。
吉本ばなな【サーカスナイト】